【第1話】この子の人生に、喜びがあったなら。

天使たちと歩いた15年

こんにちは。「みつばスタイル」へようこそ。

わたしは、医療的ケアが必要な子どもたちと、そのご家族に寄り添う看護師として、15年以上現場に立ち続けてきました。

このブログでは、日々のケアの工夫や制度の知識だけでなく、子どもたちとの出会いの中で感じた“命の輝き”や、“支える人の心の奥”にも、静かに光を当てていきたいと思っています。


彼の人生に、楽しみがあったなら

ある日、りゅうくん(仮名)という男の子が通ってきました。

彼には脳がほとんどなく、眼球もなく、人工呼吸器をつけて命をつないでいました。体をほんの少し起こすだけで、モニターがピーピーと鳴り響く。そんな繊細な体の状態です。

最初は恐る恐る。でも、毎日の関わりの中で、少しずつ、ほんの少しずつ、私たちはりゅうくんの体を支え、姿勢を変え、関わり方を模索していきました。

やがて、彼はクッションチェアに座れるようになり、「ボールサーフィン」と呼ばれる遊びにも参加できるようになりました。

その姿を見たお母さんが言ったのです。

「彼の人生に、楽しみがあったなら、それだけで嬉しいです」

たった一言。でも、その言葉に、看護師としてのわたしの全てが報われる気がしました。


意思が伝わらなくても、“確かにある命”

医療的ケアが必要な子どもたちは、言葉で気持ちを伝えることが難しい子が多いです。まばたき、呼吸のリズム、ちょっとした手足の動き…。それらすべてが“心からの表現”です。

「今、この瞬間を共に楽しんでいるんだ」と感じられる時間が、わたしたち支援者にとっても、かけがえのないものになります。


誰かの頑張りが、誰かを救っている

このブログでは、こうしたエピソードを少しずつ紹介しながら、「医療的ケアのある子どもと家族を支える」ということの意味を、一緒に考えていきたいと思います。

支援する立場の人も、ご家族も、みんな一生懸命。でも、その頑張りは、きっと誰かの希望になっている。

これからも、「みつばスタイル」で、そんな“命の物語”を綴っていきます。


※この物語は、実際の現場での記録をもとに構成しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました