吸引初心者さん、困りごと全部解決!よくあるQ&A 10選

吸引

「初めて吸引をするけど、何から手をつけたらいいの?」
「吸引チューブのサイズって、どうやって選ぶの?」

吸引ケアを始めたばかりの方にとって、疑問や不安は尽きないものです。

私は看護師歴30年、医療的ケア児・者への支援歴15年の「みつば」です。
これまで、訪問看護や特別支援学校など様々な現場で、吸引初心者のご家族や支援者の方から多くの質問を受けてきました。

この記事では、そんな吸引初心者の皆さんが抱える「よくある困りごと」を、Q&A形式で10個ピックアップし、現場の経験をもとにわかりやすく解説します。
この記事を読めば、あなたの不安がきっと軽くなるはずです。


吸引に関する基礎知識のQ&A

Q1. 吸引って、必ず毎日やるものなの?

A. いいえ、必ずしも毎日ではありません。 吸引は、痰が溜まって呼吸が苦しい時に行うケアです。痰の量が少ない時や、本人が自力で痰を出すことができる場合は、無理に吸引する必要はありません。 「必要なときに、必要なだけ」が原則です。むやみに吸引しすぎると、かえって気道の粘膜を傷つけたり、炎症の原因になったりすることがあります。


Q2. 吸引チューブのサイズはどう選べばいいの?

A. 吸引口の大きさに合ったサイズを選びましょう。
吸引チューブには、成人用・小児用など、さまざまなサイズ(6Fr~14Frなど)があります。
カテーテルの太さは、カニューレ(気管切開している場合)や鼻の穴の太さの半分以下を目安に選びます。太すぎるチューブは粘膜を傷つけるリスクがあるため、必ず医療従事者から指導を受けて、適切なサイズを選んでください。


Q3. 吸引器の圧力(吸引圧)はどのくらいに設定するの?

A. 医師や看護師の指示に従いましょう。
吸引圧は高すぎると粘膜損傷のリスクがあり、低すぎると痰がうまく吸引できません。

現在は kPa(キロパスカル) 表記が主流です。目安は以下の通りです。

  • 小児:13~16 kPa
  • 成人:16~20 kPa

個人の状態や痰の粘り具合によって調整が必要なため、必ず医療従事者に確認し、適切な圧に設定しましょう。


吸引時に迷いがちなQ&A

Q4. 吸引するタイミングが分かりません。

A. 呼吸音や表情の変化をチェックしましょう。

吸引が必要なサインは、痰が見えることだけではありません。

  • 「ゴロゴロ」「ゼロゼロ」といった呼吸音
  • 呼吸が苦しそうな表情(顔をしかめる、肩で息をするなど)
  • 血中酸素飽和度(SpO₂)の低下

これらのサインが見られたら、吸引を検討しましょう。判断に迷った時の詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。

👉吸引の判断に困ったときどうする?看護師が教える3つのチェックポイント


Q5. 吸引しても痰が取れない時は?

A. 吸引前に工夫をしてみましょう。

吸引しても痰が取れない時は、痰が気道の奥や壁にへばりついている可能性があります。

  • 体位ドレナージ:体を横向きにすることで、重力で痰を移動させる
  • 加湿:部屋の湿度を適切に保ち、痰を柔らかくする
  • 水分補給:水分を摂ることで、痰の粘り気を減らす

これらの工夫で、吸引がしやすくなる場合があります。無理に何度も吸引を繰り返さず、まずは痰を動きやすくするケアを試してみましょう。


Q6. カテーテルはどのくらいの深さまで入れればいいの?

A. 安全な深さに目印をつけましょう。
深すぎると粘膜損傷や心拍数低下の危険があります。
事前に看護師に確認し、マスキングテープなどで安全ラインを作っておくと安心です。


Q7. 吸引カテーテルは使い捨て?再利用は可能?

A. 原則は使い捨てですが、在宅では再利用もあります。
病院では1回ごとに廃棄が基本ですが、在宅ではコストや物品供給の都合で再利用されることもあります。

在宅ケアでの再利用方法(例)

  1. 外側を清拭:アルコール綿で外側の痰を拭き取る
  2. 内側を洗浄:水道水を吸引して内部を洗い流す
  3. 保管方法
    • 消毒液に浸けて保管(ミルトン等、濃度と交換頻度は指示通り)
    • 乾燥させて清潔なケースに保管

注意
・気管切開用と口腔・鼻腔用は必ず分ける
・破損や変形があればすぐ交換
・在宅の一般的な交換頻度は1日1本


Q8. 吸引後の消毒はどうすればいい?

A. 吸引器のボトルや吸引チューブは、使用後にしっかり洗浄・消毒し手清潔を保ちましょう。また、機器ごとの説明書も確認しましょう。
吸引器の廃液ボトルは洗剤や消毒液で洗浄。部品や構造によって方法が異なるため、必ずメーカー指示を守ります。


吸引を嫌がる子への対応Q&A

Q9. 吸引を嫌がる子どもへの対応はどうすればいい?

A. 信頼関係を築くための工夫が必要です。

子どもが吸引を嫌がるのには、「身体的な不快感」「感覚過敏」「過去の恐怖心」など様々な理由があります。

  • 「今からやるよ」と事前に声をかける
  • お気に入りの音楽をかける
  • 吸引後に「よく頑張ったね」と褒めてあげる

感覚過敏の子は、吸引前に顔や顎、耳を軽く押すように触れると症状が和らぐ場合があります。

これらの工夫で、子どもは徐々に安心できるようになります。より詳しい対応法は、こちらの記事で解説しています。


Q10. 吸引がうまくいかず心が折れそうです。

A. 一人で抱え込まず、プロに相談しましょう。

吸引は、ご家族や支援者にとって大きな負担になることがあります。うまくできなくても、それはあなたのせいではありません。

  • 訪問看護師
  • かかりつけの医師
  • 地域の支援センター

無理に一人で頑張ろうとせず、頼れるプロの力を借りることが、あなた自身の心と体の健康を守る上で最も大切です。


まとめ|大切なのは「一人で悩まないこと」

吸引初心者の皆さんにとって、疑問や不安は尽きないでしょう。

しかし、大切なのは、すべてのことを完璧にこなすことではありません。 「迷ったら、まず相談する」という勇気が、あなたとお子さん、そして大切な人を守る力になります。

このQ&Aが、皆さんの日々のケアの安心に少しでも繋がれば幸いです。


執筆者:みつば
看護師歴30年/医療的ケア歴15年
急性期病棟(消化器外科・乳腺外科)、行政訪問指導(700件以上)、高齢者・障害児施設、訪問看護、学校看護、小児外来など幅広く経験。

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