「吸引をしようとすると、全力で嫌がる…」
「泣いて暴れて、結局できないまま終わってしまう」
このような悩みは、医療的ケアの現場で本当によく聞かれます。
私は看護師歴30年、医療的ケア児・者への支援歴15年の「みつば」です。
毎回の吸引が“戦い”になってしまい、心が折れそうになるご家族や支援者の方をたくさん見てきました。
でも、ちょっとした工夫や信頼関係づくりで、吸引がスムーズになることは少なくありません。
この記事では、子どもがなぜ嫌がるのかという理由から、今日からできる具体的な対応法まで、経験をもとにやさしく解説します。
子どもが吸引を嫌がるのはなぜ?主な3つの理由
【理由1】身体的な不快感・痛み
吸引は、のどや鼻の奥など敏感な部分を刺激します。管が入る瞬間の違和感や痛みが、強い拒否反応を引き起こすことがあります。
特に鼻吸引は、鼻腔が狭い子や炎症がある場合に痛みが増すため、より慎重なアプローチが必要です。
【理由2】感覚過敏による強い不快感
発達障害や脳性まひのある子には、触覚や圧覚に対して非常に敏感な場合があります。
少しの刺激でも「痛い」「嫌だ」と感じやすく、聴覚の敏感な子は吸引器の音や空気の流れだけで緊張が高まることもあります。
【理由3】過去の記憶や恐怖心
以前に苦しい思いをした経験があると、その記憶がよみがえり、吸引の準備をするだけで拒否することがあります。
「見ただけで泣く」というケースも、過去の体験が影響している可能性があります。
今すぐできる!吸引をスムーズにする具体的な工夫
1. 心理的な安心をつくる「声かけと準備」
- 短く、わかりやすい言葉で声をかける(例:「吸うよ」「終わったら水飲もうね」)
- 必要以上に脅かさない。「痛くないよ」と言い切るより、「ちょっと頑張ろう」と事実を伝える方が信頼につながります。
2. 身体的な不快感を減らす「やさしいテクニック」
【看護師の裏技】圧量(あつりょう)刺激って知っていますか?
感覚過敏がある子には、吸引の前にあごや頬、耳のまわりを少し圧をかけて触れる方法が非常に効果的です。
これは「圧量刺激」といって、事前にやさしく触覚を慣らすことで、過敏な反応を落ち着かせるテクニックです。
3. 選択肢を与えて「主体性を尊重する」
- 「右からにする?左からにする?」など、小さな選択を本人に委ねる
- 終わった後のごほうび(シール、好きなおもちゃなど)を決めておく
まとめ|“いやなこと”を“信頼のケア”に変えるために
吸引は、どうしても本人にとって不快なケアです。
しかし、「この人になら任せてもいい」と思ってもらえるように、関わる大人の心がけと小さな工夫を積み重ねることで、その時間は大きく変わります。
嫌がるサインは、子どもからの大切なメッセージです。
原因を理解し、やさしい工夫を続けることで、きっと信頼関係を築けるはずです。
【次のステップ】
この記事で対応のコツが分かったら、次は「そもそも吸引のやり方が不安…」という疑問も出てくるかもしれません。
こちらの記事では、吸引初心者さん向けのよくある質問にQ&A形式で答えています。
👉 吸引初心者さん、困りごと全部解決!よくあるQ&A 10選
執筆者:みつば
看護師歴30年/医療的ケア歴15年
訪問看護、特別支援学校、重症心身障害児者の通所・入所、小児外来、行政での福祉支援など、多様な現場で支援経験あり。
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